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この戦略は驚いた『19歳はリフト代タダ』に見る3つのポイント


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19歳無料のビジネスモデル

19歳と言えば成人になる1歩手前で大学生であれば1年目、社会に出た人は自分で給料を稼ぎ、そして多くの人が高校を卒業して人間的に自立しようとしている年齢だ。この頃の経験は人生に対して大きな影響を与えると思う。

先日こんな記事を読んだ。


【連載・視点】19歳はリフト代タダ!業界を動かしたビジネスモデル(1/3) | RBB TODAY

記事を読むのが面倒な人は以下の概要を参照。

 

  • 長野県「ゲレンデにお客さん呼び戻して地域活性化したいよ」
  • リクルート「んじゃ19歳はリフト無料にしちゃいましょう!」
  • どっかの協会「はぁ?そんな利益を度外視したリスクを負えるか」
  • リクルート「お前ら19歳が客全体の1~3%って知ってる?」
  • どっかの協会「ぐぬぬ・・・」
  • リクルート「19歳が先輩後輩連れて来て飲み食いしてレンタルしたら?」
  • どっかの協会「・・・・・・」
  • 19歳「リフト無料?すげぇ!登録するわ」(約15万人登録)
  • 長野県「9割が翌年もゲレンデ行ってるから大成功だわ」

 

このビジネスモデルは本当に凄いと思うが、なにより共鳴したのは正に僕自身が19歳と言う絶妙な年齢でスノボーに行って、毎年ゲレンデに足を運ぶ様になったからだ。そう!このビジネスモデルに『自分』がビシっと当てはまる事にびっくりしたのだ。

では、このビジネスモデルの凄さはなんだろうか?3つにまとめてみた。

 

1.18歳でも20歳でもない19歳という設定が凄い。

もしスキーやスノボーを今でもやっている人がいるとしたら、そのきっかけ(エントリーポイント)はなんだっただろうか?

ここでポイントなのは『初めてゲレンデに行く年齢』ではなく『自らゲレンデに再訪する年齢』に注目した点だ。

恐らく『初めてゲレンデに行く年齢』は家族に連れられて行った『幼少期』である人が多いと思う。長野県もこの点は把握していて家族連れをターゲットにした子どものリフト券を無料にしたり、修学旅行を斡旋したり様々な対策を打っていた。

しかしこれらの対策はリピート率を高めることには寄与していない事が分かり『自らゲレンデに再訪する年齢』に注目。調査をしてみると思春期に仲間同士でスキーやスノボーを始めた事が、その後のリピートに大きく関係しているのが判明した。

僕も子どもの頃に家族に連れられてゲレンデに行った事があるが、自らの意思とお金で初めてゲレンデに行った19歳の体験が強烈なインパクトとなり20代後半まで毎年ゲレンデに行くきっかけになったのは間違いない。

考えて見れば誰か(親や学校)に連れられて行く旅行は自分のお金でもなく計画も自分で立てないから受動的な体験だ。しかし19歳前後で自ら行く旅行は能動的な体験で「失敗したくない!楽しい旅行にしたい!」というある種の強迫観念があるのも確かだ(笑)

そうなると「楽しむしかない!」というマインドになりゲレンデを思いっきり楽しむ。仮にスキーやスノボーが上達しなくても19歳であればリフト無料なので「またチャレンジしてみようかな」と思う。そして19歳のシーズン中に少しでも上達すれば「また来年行こうかな」とリピートする。

ちなみに18歳や20歳ではダメだったのかな?と考えてみたが18歳だとまだ高校生が多い事や免許も取り立てで車で行く人も少ないので微妙。20歳は1月三連休と言う絶好のタイミングで成人式があるので、やはり19歳限定と言う絶妙な設定がこの戦略の凄さの1つだと思う。

 

2.複雑さを完全排除したシンプルな設定が凄い

ネット上での「※」と言えば「イケメンに限る」だが、「無料」などのフレーズには必ずと言ってよいほど前提条件や制約条件がある。例えば「〇〇は除く」や「〇日~〇日のみ」など。

携帯電話や保険の契約は「※」が何個も付いてて複雑だが、複雑になればなるほど人に伝わりづらくなるのは間違いない。

リクルートはこの世代がスマホSNS世代であることから「2秒で説明できるもの」を意識したらしい。確かにLINEやTwitterFacebookで回りくどく説明するよりも「俺ら19歳は無料だから行こうよ」とシンプルに伝えられる設定は重要だ。

そしてこの無料と言う戦略はソーシャルゲームで見られるフリーミアムというビジネスモデルを参考にしているそう。ソシャゲは無料ゲームで大量にユーザーを集めて楽しかった人は課金してもらうモデルだが、スマホSNSが当たり前の若い世代にはこのモデルでの囲い込みがマッチしているのかも知れない。

なにか思い切った戦略を打つときに中途半端な条件を付けないで可能な限りシンプルにユーザーへ伝えるのは本当に大切だと思う。

 

3.漠然としたリスクを排除したのが凄い

19歳無料の戦略を打ち出した時に「そんなリスクを負えるか」と憤慨されたそうです。そりゃインパクト大きい言葉だし反対する人もいるでしょう。僕自身も当事者だったら「はぁ?」ってなりますわ。

でも、リスクって漠然としているからこそ怖いんだと思う。逆に言えばリスクは明確になれば怖くない。以下記事引用。

「リスクってぼんやりしてることが多いんですよ。例えばゲレンデに1年間で足を運ぶ人は何人ですか?と聞くと答えられる人は多いけど、19歳はそのうち何パーセントか?については分からない人が多い。データがある施設に聞くと1~3%という数字が出てきた。

 なんとリスクは1~3%。そしてその1~3%を無料にしてもゲレンデで飲食もするしレンタルもするかもしれない。そしてなによりリピータになる可能性もある。そうなると1~3%はリスクでも赤字でもない投資となる。

どんな業界でも職種でも「リスクだ!」と言う人は「漠然とした恐怖」で話している場合が多い。その「漠然とした恐怖」をしっかりと数値化して明確にする事によってリスクに挑み大きなリターンが得られる。これは僕も肝に銘じなくては。

 

 

僕が「凄い」と思った点を3つに纏めてみましたが学ぶことが多かったです。19歳無料は凄い戦略ですが今後リピート率を上げる事が重要になってくるかと思います。これは個人的な意見ですがスノボーに行く人って純粋にスノボーを楽しむ人より、仲間と行く車中、ゲレンデでの食事、温泉、宴会など全体通したパッケージを楽しんでいる人が多いと思うので、そのパッケージを体験する機会を作るのも重要かも知れませんね。

 

わーわー言うとりますが、あーっと言う間にお時間です。さようなら。